ピタゴラスが考えた「天球の音楽」とは。 宇宙の音楽の元ネタ解説【サマコン曲紹介――宇宙の音楽編】
今度のサマコンで阪吹が演奏する宇宙の音楽。
吹奏楽コンクールでも幾度となく取り上げられ、吹奏楽経験者ならご存じの方も多いのではないでしょうか。
もともとはブラスバンドの曲だった!吹奏楽コンクールで人気!精華!駒沢!等は世の中にありふれているのでここではいったん置いておいて、題名の「宇宙の音楽」の由来である「天球の音楽」について、歴史とともに簡単に説明します!
なお、以降の説明には筆者の主観と解釈が大いに混ざっていることにご留意ください。
それでは、歴史の旅へ Let’s go!
古代ギリシャの音楽
西洋の音楽の起源は古代ギリシャにまでさかのぼることができます。ギリシャ神話にも楽器を操る神々が登場し、その様子は彫刻や絵画からも見て取れます。実は「music」の語源もギリシャ神話で、ゼウスの娘で文芸をつかさどる女神ムーサに由来するそうです。
この時代には、ライアーやパンパイプといった楽器も作られました。ダブルリードの楽器もこのころすでに発明されていたそうですよ。
紀元前8世紀ごろから、古代ギリシャではポリスと呼ばれる都市国家が形成され、文化的、政治的に発展して数々の文学や哲学が発達しました。かの有名な哲学者ピタゴラスはこの時期に活躍しました。
哲学者ピタゴラス
ピタゴラスの定理(三平方の定理)で有名なピタゴラスですが、音楽においてはピタゴラス音律を考案した人物としても知られています。古代ギリシャ・サモス島で生まれたピタゴラスは、「万物の根源は数である」と唱え、宇宙のすべてを数によって解き明かそうとしました。当時の哲学者は科学者の側面も持ち、ピタゴラスは哲学者であるとともに、数学者、天文学者、音楽の研究者でもありました。
天球の音楽
ピタゴラスは、地球上で物体が移動するときに音を発することから、宇宙で移動する大きな惑星たちも音を立てて動いているはずだとし、惑星から奏でられる和声で宇宙空間は満たされており、音楽を研究することで宇宙のすべてを解き明かせると考えました。これが「天球の音楽」と呼ばれる考え方です。
当時は天動説が一般的だった一方、天動説では惑星の動きを説明しきれないことも確認されていたようです。ピタゴラスらは音の比を調べることによりこの不都合な動きを説明しようとしたのです。 この考え方は後世の哲学者・天文学者らに大きな影響を与え、哲学者プラトンや天文学者ケプラー(ちなみに阪吹には一昨年まであだ名がケプラーの先輩がいらっしゃいました)らに引き継がれていきました。
ケプラーの惑星の音楽
天文学者ケプラーは惑星の軌道の遠日点と近日点の角速度の比から、水星~土星の六つの惑星に音階を割り当て、これらの惑星が発する音はほとんどの時点で不協和音を奏でるが、長い年月のうち数回美しい和音を奏でる、と考えました。この考えを、ケプラーは「惑星の音楽」と表現しました。美しい和音を奏でるタイミングはビックバンの時だけ、という考えもあるようです。
(惑星の軌道は楕円形であり、太陽に近い部分、遠い部分が存在します。太陽に最も近い点を近日点、最も遠い点を遠日点と言います。また、角速度とは円を回転する速度のことです。)
宇宙の音楽ってどんな曲?
曲自体は上記のような小難しい印象は一切なく、宇宙の始まりビッグバン、広い宇宙を旅する惑星、小惑星や流れ星の様子、宇宙空間を満たしているハーモニー、未知なる領域への希望を美しく表情豊かに描いています。
特に、曲の後半の「天球の音楽」を表現した美しいメロディーが一番の聴き所だと思います!
繊細な木管楽器のアンサンブルにも注目です。
YouTubeで聴けるおすすめ演奏動画
大阪市音楽団
吹奏楽版世界初演の音源です。
Yorkshire Building Society Band
ブラスバンド版(原曲)です。
駒澤大学高等学校
個人的に、高校生の演奏でNo.1の宇宙の音楽です。
まとめ
今回は宇宙の音楽、というよりは天球の音楽について紹介しました。
曲の背景を知ることで曲をもっと楽しめると思います!
ぜひ阪吹が奏でる宇宙の音楽を、サマコンでお楽しみください!
編集後記
阪吹ブログでは、大阪大学吹奏楽団ではサマーコンサートに向け、団員の活動やサマーコンサートの内容をお伝えしています。
今後の記事の内容や運営方法のもっと良くしていくため、みなさんの意見を参考にさせていただきたいです。
もしよろしければ、以下のアンケートにお答えいただけますでしょうか。今回の記事のご感想などもいただけると、とても励みになります。団員へのメッセージも募集しています。
どうぞよろしくお願いいたします。