「ドラゴンの年」—楽曲紹介
こんにちは。今回は、第53回定期演奏会で演奏するドラゴンの年(2017年版)を紹介します。
ドラゴンの年(2017年版)
この曲は、イギリスの名作曲家フィリップ・スパークによって作曲されました。もともとは1984年にブラスバンドのために書かれた作品ですが、1990年に吹奏楽版として編曲され、さらに2017年には新たなエディションが発表されました。特に日本では多くの吹奏楽団がこの曲を取り上げており、スパークの代表作として広く知られています。
背景
「ドラゴンの年」というタイトルは、スパークが1984年に香港で生活していた際、中国文化に触発されてつけられたものです。「龍」は中国文化で力強さや活力を象徴する存在であり、そのエネルギーが音楽にも反映されています。2017年版は、より現代の吹奏楽に対応する形で楽譜が改訂されており、サウンドの明瞭さやバランスが向上しています。
構成
この曲は「急—緩—急」の三部形式を基調としており、ダイナミックな変化が楽しめる内容になっています。
I. トッカータ
冒頭は鋭いファンファーレと激しいトッカータで幕を開けます。この最初の“タカタカタンッ”がもう最高にかっこいいです!!全楽器が入り乱れるこのパートは、演奏者に高度なテクニックを要求します。息つく間もない速いパッセージが続き、スリリングな雰囲気が会場を包み込みます。「最初から全力疾走で行くぞ!」という決意が感じられる、まさにオープニングにふさわしいパートですね。
[冒頭、直管金管群の鋭いフレーズから始まる(上図)]
II. 間奏曲
続く中間部では、まるで異世界に迷い込んだような幻想的な音楽が展開されます。特にフルートやイングリッシュホルン(コーラングレ)の繊細なソロが印象的で、柔らかいストリングス風の伴奏がその美しさを際立たせます。どこか懐かしくも儚いメロディーが、聴く人の心に深く響きます。スパーク特有の詩的な世界観が存分に発揮されるパートです。個人的に私はドラゴンの年のこの2楽章の終盤の盛り上がりが1番好きで毎回鳥肌が立ちます・・・。
III. 終曲
再びテンポが上がり、冒頭のエネルギーが戻ってきます。複雑なリズムと多彩な連符が絡み合い、曲はクライマックスへと突き進みます。この3楽章の連符を団員たちが取り憑かれたかのように歌っていたのが面白かったですね。この思わず歌ってしまうような連符、私たち団員一生懸命練習してきたので注目ポイントです。この楽章では低音から高音まで全セクションが一体となり、壮大で熱狂的なフィナーレを迎えます。最後の一音が鳴り響く瞬間、「これぞドラゴンの咆哮だ!」と思わず胸が熱くなるでしょう。
最後に
「ドラゴンの年(2017年版)」は、一曲でオーケストラ的な壮大さと吹奏楽ならではの機動性を兼ね備えた作品です。コンサートやコンクールで演奏されることが多く、演奏者だけでなく聴衆の心にも強く残る名曲です。あなたもこの力強い音楽を、ぜひホールで体感してください!2024年12月28日(土)堺市民芸術文化ホールでお待ちしております!
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