「Of Our New Day Begun」—楽曲紹介
こんにちは!トランペットパート3回生の組長と申します!今回はOmar Tomas作曲『Of Our New Day Begun』についてお話します。
今回の定期演奏会のプログラムの中では難易度は比較的落ち着いており、取り組みやすく、またメッセージ性も非常に強い曲です。書くべきことがたくさんの一曲です・・・。
しかし!音楽を言葉による記述などのほかの手段で全く同じように伝達することはできません。だからこそ音楽で表現してあるのです。少しでも興味が湧いたという方は、12/28(土)フェニーチェ堺 大ホールへぜひお越しください!!!
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作曲の背景 ~チャールストン教会銃乱射事件~
最初に色々なことを書いてしましましたが、気を取り直して曲の紹介のほうに入っていこうと思います。この曲の背景にあるのは、「チャールストン教会銃乱射事件」です。2015年のある日、アメリカサウスカロライナ州チャールストンに位置する伝統的な黒人教会で聖書勉強会が行われている際に、男が乱入し銃を乱射、9名が犠牲となりました。白人至上主義者によるヘイトクライムだったことが分かっています。これを受け、自らも黒人である作曲者 Omar Tomasはこのようなテロリズムを生み出す社会への怒りや疑問、そして被害者遺族のそれでも前に進もうとする姿への畏敬の念を込めてこの曲を作曲しました。
”Full, yet hurting. Shell-shocked, yet hopeful”
曲中では一貫して一つのテーマが繰り返されます。このテーマは黒人国家とも呼ばれる『Lift Every Voice and Sing』という歌からの引用です。前半部は葬送行進曲のような重く暗い足取りで、曲は進行していきます。ブルースの響きとともに、次第に怒りに満ちた咆哮のような激しい曲想へと曲は変化し、その後何かに思い悩むような不安定な響きに包まれたかと思えば、奏者全体による足踏み(Stomp)により曲は打ち切られます。その後、膝うち(Lap pats)もそのリズムに加わると、『Lift Every Voice and Sing』が全体で歌唱されます。これ以降、曲は明るく前向きな性格へと変化し、力強い行進曲風の盛り上がりを見せます。やさしい響きのなか、穏やかに終結に向かいますが、最後は力強い足踏みとユニゾンのロングトーンによって、強力な意思を感じさせながら終わります。
終わりに
黒人国家の引用だけではなく、ブルースの響き、足踏み、膝うちによるリズムなど、黒人音楽のイメージを意識的に曲中に多用しています。社会への抗議ともとれるメッセージとともに、温かな優しさや前向きに前進しようとするや力強さを感じさせます。大阪大学吹奏楽団は、指揮者の久保田先生とともに、このような想いが伝わるように、内面的な表現に気を配って練習してまいりました。是非、当日実際にホールでお聞きくださいませ。ここまでお読みいただきありがとうございました!