「希望の彼方へ」—楽曲紹介
みなさんこんにちは!当団副団長を務める打楽器3回生のさくらんです🌸
今回は第53回定期演奏会オープナーを飾る、フィリップ・スパーク作曲「希望の彼方へ(Looking Up, Moving On)」の紹介を書かせていただきます。最後までお読みいただけますと幸いです!
どんな曲?
「希望の彼方へ」は、2012年5月、東京佼成ウインドオーケストラによる委嘱作品として書かれました。原題のLooking Up, Moving Onは“前を向いて、進み続ける”といった意味で、前年2011年の東日本大震災からの復興の願いが盛り込まれています。典型的な急-緩-急の三部形式で構成されており、スパークらしさの光る一曲となっています。親日家として知られるスパークが、災害という困難に向かい立ち上がる日本への激励・復興の願いを込めて作曲した曲です。
オープニング
ここからは曲の中身についてお話ししていきます。
この曲は定期演奏会の一曲目として演奏しますが、まさにオープナーにふさわしい明るく爽快な曲調から始まります。木管楽器やトランペットによる軽やかなメロディーと、打楽器をはじめとするリズム隊による特徴的な打ち込みが印象的なオープニング部分は、私も大好きなところで、初めて聞いたときワクワクしてめっちゃ楽しそう!と思ったのを覚えています。曲の大きなテーマが「災害」という重いものでありながら、その困難を乗り越え前向きな未来へ向かうのだ、という明るさと力強さを感じる曲調で、すごくかっこいいですよね!私も曲を聴くたびに「頑張ろう」と思えます!!
中間部
急緩急の「緩」にあたる中間部は、この曲と同じく震災の復興のためにスパークによって書かれた作品「陽はまた昇る(The Sun Will Rise Again)」からの引用が展開されます。私は「陽はまた昇る」も過去に演奏したことがあるのですが、すっごい綺麗な曲です!曲を通してゆったりとした曲調ですが、優しさも力強さも感じられる美しいメロディーが印象的な、これまた私は大好きな曲です。この主題がアルトサックス・テナーサックスのソロによって奏でられる非常に美しい中間部になっています。また、中間部のなかでの盛り上がりも見どころの一つです!木管の連符や中低音のロングトーンが徐々に盛り上がりをみせ、「ff(フォルテッシモ)」を迎える部分は本当に感動的です。美しさの中に力強さを感じる部分、この曲の醍醐味だと思います。
フィナーレ
さていよいよ最終部ですが、オープニング部分を想起させる軽やかさを持ちつつ、序盤で木管低音が担当するメロディーがすごく特徴的になっています。木管低音は乗り曲が多くて練習負担も大きいのですが、本当に頑張り屋さんばかりでこの難しいメロディーも華麗にこなしています。すんごくかっこいいので聞いてほしいところですが、実はその裏で行われる打ち込みも結構難しくて見どころなんです!半拍ずれで色んな楽器が打ち込み(右写真)していくのですが、全員がきれいにカチッとはめるのがなかなか難しい部分になっています。その後メロディーがファゴット・ピッコロソリに、打ち込みが「p(ピアノ)」に変化して全体的にpの音楽が展開されたのち、曲の初めのメロディーが帰ってくるという構成になっています。そして曲の終盤、「Più mosso(それまでより速く)」で木管楽器の細かいメロディーと金管楽器らの大きな流れのメロディーとが同時に進行し、そのままの勢いで駆け抜け低音群の最後の一音で幕を閉じます。前向きに頑張っていこうという明るい気持ちと、困難に立ち向かう力強さが共存する曲調でほんとにかっこいいですよね!
曲への想い
さて、ここまで曲の中身についてたくさんお話ししてきましたが、私がこの曲を推す理由や曲に対する想いについてもう少しだけお話しします。
実は私は、高校1年生の時この曲を演奏したことがあり(先輩方が主たる楽器をしてたので演奏した記憶はそんなに残ってませんが……)、ずっとかっこいいなやりたいなと温めてきました。高校時代、私の憧れていた先輩がスネアを演奏していて「私もいつかあのパートやりたい!」と目をキラキラさせていたのを覚えてます。今回、この曲がオープナーとして通ってスネアの希望が通って、最後の舞台でその願いが叶うことがすごく嬉しくて感慨深いなあと思っています。当時は先輩の姿を追いかけていたけれど、今は自分が先輩として後輩たちに姿を見せる側になったのだと感じ、しみじみ感じるとともに、やはりいい意味でのプレッシャーも感じています。打楽器の後輩も他のパートの後輩も多く乗っている曲だからこそ、先輩たる演奏にしなければ、と思います。過去私が先輩に憧れを持っていたように、今の後輩たちに憧れられるような先輩でありたい、そしてそれに値する演奏を届けたいと思っています。
最後に
長々と書いてしまいましたが、ここまで読んでくださってありがとうございます!オープナーではありますが、私たちの音を聞いていただく最初の曲ということで、奏者一同熱意を持って練習してきた成果を出せればと思います。奏者も含む人間が持つ前向きな明るさと、立ち向かう力強さを感じてもらえるよう頑張ります!ホールでお待ちしております!
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