「三つのジャポニスム」—楽曲紹介
こんにちは!今回は第53回定期演奏会で演奏する『三つのジャポニスム』(Les trois notes du Japon)の曲紹介をします。
三つのジャポニスムとは?
この曲は、『富士山 ~北斎の版画に触発されて~』や『鳳凰が舞う〜印象:京都、石庭、金閣寺〜』を作曲し、『宝島』や『喜びの島』などの数多くの音楽を吹奏楽版に編曲したことで有名な真島俊夫さんが2001年に作曲した、今も尚人気のある曲です。
題名にもあるように、作曲者自身がこれこそが日本的だ!と感じた三つの要素「鶴の舞」「雪の降る川」「夏祭り」を表現した曲です。儚い美と厳かな美を併せ持つ日本の情緒が感じられるような演奏ができるよう頑張ります!
Ⅰ鶴が舞う(La danse des grues)
「音もない白銀の世界で目にするのは、丹頂鶴の美しく熱い求愛の踊り」
第一楽章は厳かな低音の響きから駆け上がり、Fluteの情熱的なフラッターのみが会場に響いた後、Piccolo、Oboe、S.Saxのソロで幕を開けます。激しい旋律の後にはHornが山の風景のように静かに、それに交差するFlute、Clarinetは鶴の呼応のように美しく。ひとしきり鳴き終えると、Harpの音色に乗って優雅に空に舞っていきます。飛び立つ羽音が会場に聞こえてきますので、是非耳を澄ませてお聞きください。
主旋律が何回も繰り返された後に始まるゆったりとした場面では、S.Sax、Oboe、Flute、E.Horn、Bassoonと様々な木管楽器によって旋律が受け継がれていきます。それぞれの楽器の音色の違いに注目してお聞きください。鶴がコーコーと鳴く様子を表現したところもあるので、鶴の華麗な姿を想像しながらお楽しみください。
Ⅱ雪の川(La rivière enneigée)
「冬の峡谷を流れる川に音もなく降り続ける雪。墨絵のような景色が広がる」
第二楽章は、Flute、Harp、Glockenの高く寂しい響きがしんしんと降る雪を表現し、Clarinetの重くゆったりとした旋律や低音楽器の厳かな響きが、銀世界に流れ続ける透き通った川を描きます。それとは対照的に揺れ動くE.Horn、S.Sax、Fluteのソロ。雪の色を吸った空気の中には何が見えるのでしょうか。それぞれが静かな雪の川に抱く情熱的な思いにご注目ください。
Ⅲ祭り(La fête du feu)
「誰もが一つになって踊り、歌い、騒ぐ日本の夏祭り」
管楽器のトゥッティとTimpaniをはじめとする打楽器の熱狂的なリズムは夏の暑さも忘れて踊り狂う人たちのようで、息をする間もなく続く旋律とHornとA.Saxの雄叫びで私たちの心も祭りに飛び込んでいきます。木管楽器の囃子や櫓太鼓の旋律など、この曲に出てくる祭りのリズムは様々な祭りが元となっており、どこか懐かしさを感じる人もいるでしょう。打楽器が鳴り止むと、Clarinetの優しいソロが始まり、朝からまぶしい夏の陽の光が差してきます。Fluteとの協奏を終えると、低音の温かい旋律とOboe、Flute、Trumpetの鮮やかな音色がどこからか聞こえてきます。そんな夏の煌びやかな朝日と、山からもくもくと顔を出す入道雲を想起させるような空気の中、やがて聞こえてくるのは青森の「ねぶた」のリズムとホルンの勇ましい音色。どうぞ最後まで私たちが作り上げる祭りをお楽しみください。
最後に
最後まで読んでくださりありがとうございました。少しでも三つのジャポニスムの魅力を知っていただけたら幸いです。いつもは西洋的な音楽を演奏する私たちですが、今回は一味違う大阪大学吹奏楽団の「和」の演奏をお届けできたらなと思います。
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