Mashima Toshio – 真島俊夫
新しい主題と古典的主題による対比と変奏 |
●英題:Contrast and Variation [A symphonic Movement For Band]
●グレード: – ●演奏時間:約6分30秒 ●第20回定期演奏会 この曲は、第20回定期演奏会を記念して、真島俊夫氏に依頼して作っていただいたものです。 曲は、題名どおり二つの主題の対比と変奏により構成されています。金管楽器による第一主題(新しい主題)の提示で始まり、木管が受け継いで、全体でこの主題を演奏したのち、フルートにより第二主題(古典的主題)が示されます。この旋律が音量を増しながら繰り返され最初のクライマックスを築き上げたのち、静かに消えていきます。短いブリッジの後、第一主題が打楽器を伴って再現され、そのリズムが全体を支配し盛り上がった後、第二主題が再現されクライマックスとなり、三連符を強調したリズムによる短いコーダで曲を終わります。 作曲者の真島氏はこの曲について次のように語っています。 「ここで使われている二つの主題はまるっきり水と油のように見えますが、どちらも同じ発想から出来たものです。ただメロディーに対するハーモニーのアプローチの仕方の違いが古典的か近代的かの対比を作っています。しかしどちらも五度進行を根底に置いたもので、基本的には同じ技法で作られています。」 真島氏は、ヤマハ・バンドディレクターズ・コースで和声法と作編曲法を兼田敏氏に師事、のちに吹奏楽作品を手掛けるようになり、ニューサウンズ・イン・ブラスに多数の編曲を提供、オリジナル作品も多数作曲しています。氏の代表作として「波の見える風景」があります。 (第20回定期演奏会) |
コーラル・ブルー 沖縄民謡「谷茶前」の主題による交響的印象 |
●英題:CORAL BLUE – A Symphonic Impressions for Band
●グレード: – ●演奏時間:約5分 ●第16回サマーコンサート この曲は日本の最南端に位置する美しい島、沖縄の印象を音にしたものです。それは自然の印象は勿論のこと、そこに住む人達の印象でもあります。曲は南国の厚い日差しの描写で始まり、沖縄民謡「谷茶前(たんちゃめ)」の主題がゆっくりと歌われます。快活で独特なフレーズが続き、異国情緒たっぷりな中間部を過ぎると、沖縄の人々の大らかなイメージがエンディングでダイレクトに伝わってきます。曲全体として南国沖縄の美しい自然とゆったりした気分を表現しています。 どうぞ肩の力を抜いてこの曲をお聴き下さい。 (第16回サマーコンサート) |
波の見える風景「改訂新版」 |
●英題:View with a Glimpse of Waves ―Revised Edition―
●グレード: 3-4 ●演奏時間:約7分 ●第18回サマーコンサート、第25回サマーコンサート この作品はカワイ吹奏楽団からの依頼を受け、1982年の秋から翌年の春にかけて作曲された。“Rainbow over the sea”というタイトルが付けられ、カワイ吹奏楽団に渡されたが、初演する機会がなかった。そこで短く改訂され1985年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲となり、『波の見える風景』はその時付けられたタイトルである。後に全曲版としてもう一度手直しされ、本日演奏する作品になった。曲の形式は3つの部分からなり、上行形の旋律が奏されオーボエの第1主題がある第1部と、激しい海や静かな海など様々な様相を見せフルートの第2主題とその変奏のある第2部、第1主題の再現となる第3部からなっている。 (第18回サマーコンサート) 1985年の吹奏楽コンクールの課題曲であったが、後に作曲者によって改訂される。 この作品の中を大きく2つに性格づけるならば、それはおそらく、「穏やかな波の表情」と「うごめき、力強い波の表情」となろう。この2つのキャラクターは、交互に作中にあらわれる。 細かく動く木管のパッセージは波の飛沫を思わせ、曲中幾度も繰り返されるダイナミクスの変化はそれこそ、まさに寄せては返す「波」を思わせる。 「波」という「海の鼓動」を表現した本作には、聞く人を暖かく包み込むようなやさしさが感じられる、と同時に、そこには時に厳しく人間たちに立ちはだかる、一種の脅威としての姿も見られる。 こうした海の謂わば「母性」と「父性」。そこに本作の一つの主題を読み取ることができないだろうか。 (第25回サマーコンサート) |
三つのジャポニスム |
●英題:Les Trois Notes du Japon
●グレード: 5 ●演奏時間:約16分40秒 ●第33回サマーコンサート この曲は東京佼成ウインドオーケストラの委嘱で真島俊夫によって書かれた曲です。 タイトルの「三つのジャポニスム」とは「三つの日本的なもの」という意味で、真島俊夫自身が日本的だと感じるものをタイトルに持つ三つの楽章で構成されています。] 1楽章「La danse des grues『鶴が舞う』」は丹頂鶴の求愛の踊りを描写したもので、鶴の羽音なども再現されています。 2楽章「La Rivière Enneigée『雪の川』」は冬の峡谷を静かに流れる川に、雪がしんしんと降り続ける墨絵のような光景を描写した楽章です。木管楽器によっておおらかに流れる川が表現され、ゆっくりとしていてどこか切なさも感じられます。 3楽章「La Fête du Feu『祭り』」は激しい日本の夏祭りの描写です。夏の青空に入道雲が浮かんでいる様子を再現した部分もあり、三つの楽章のなかで一番激しくまた熱い楽章でもあります。 少し長めの曲ではありますが、各楽章で全く色の違った曲となっていますので、楽章ごとの景色を想像しながらお楽しみください。 (第33回サマーコンサート) |
Breezin’ |
●グレード: –
●演奏時間:約4分30秒 ●第39回サマーコンサート この曲は吹奏楽界では言わずと知れた大作曲家、真島俊夫が第4回シンフォニックジャズ& ポップスコンテスト全国大会の課題曲としたものである。真島俊夫は「風」を自身の作曲のモチー フとしていることが非常に多く、『Breezin’』もその曲の1つで、日本語で「そよ風が吹いている」 という意味を持つ「Breezing」が語源となっている。「そよ風」には「穏やかな風」という意味に加えて「初夏に爽やかに吹く風」といったニュアンスがある。タイトルの通り、穏やかで爽やかなメロディーが印象的な曲となっている。アフロキューバンやスウィングなどのリズムパ ターンが次々と変化し、木管と金管の複雑な絡み合いが多いため、少し難易度が高い吹奏楽オリジナルポップス曲となっているが、大編成ならではの迫力あるサウンドで会場全体をアツくさせることは間違いないだろう。曲中の至るところに現れるサックス群のソリや、中盤のパーカッションソロにも注目してお聴きいただければ幸いである。 (第39回サマーコンサート) |