Claude Thomas Smith – クロード・トーマス・スミス
フェスティバル・バリエーション |
●原題:Festival Variations
●グレード: 6
●演奏時間:約10分 ●第29回サマーコンサート
委嘱団体である、アメリカ空軍ワシントンD.C.バンドの指揮者、A.D.ゲイブリエル大佐はスコアにこう寄せています。1982年、アメリカ合衆国音楽教育者協会とテキサス州立音楽教育者協会の合同コンベンションの席上、この衝撃作は委嘱団体により初演され、大反響を呼びました。それ以来人気は褪せることなく、現在においても、もっとも有名な吹奏楽曲といっても過言ではないであろう作品です。当時のワシントンバンドの首席ホルン奏者が、作曲者の大学時代のライバルであったことから、ホルンのパートをワザと難しく書いた、という伝説的な逸話も有名です。
作曲者のクロード・トーマス・スミスは、1987年12月13日に心臓発作により亡くなりました。55年という長いとは言えない生涯の間に、125曲もの吹奏楽曲を残し、亡くなる前年には、本作と共にスミスの2大代表曲である「華麗なる舞曲」を生み出しています。非常に惜しまれてこの世を去ったことは言うまでもありません。他にも、「ルイ・ブージョワーの讃歌による変奏曲」、「独立讃歌による変奏曲」、「フライト」、「交響曲第1番」など、数々の名曲をこの世に送り出したアメリカを代表する作曲家です。 煌びやかにしてスマート、中間部で怒涛のように押し寄せる感情の波…「ザ・アメリカン」ともいうべきスミス作品の世界を味わっていただければ、と思います。 (第29回サマーコンサート) |
ルイ・ブルジョアの讃美歌による変奏曲 |
●原題:Variations on a Hymn by Louis Bourgeois
●グレード: 6
●演奏時間:約10分 ●第45回定期演奏会
アメリカ空軍バンドと、その指揮者であるジョン・R・ブルジョワ隊長の委嘱によって作曲された。その名に擬えてか、この曲はルイ・ブルジョワが作曲した賛歌「詩編旧100番」をテーマに変奏させている。この賛歌は英語圏では非常に有名なもので、礼拝の際に栄唱としてよく用いられる。 曲は華やかなファンファーレで始まり、続いて荘厳に「詩編旧100番」のテーマが演奏される。次第にオーボエのソロ、木管群、金管群、とテーマは受け継がれ、勢いを増し演奏されてゆく。そして雄大な賛歌の響きが再来し、曲は一旦収束する。 変奏が移り変わり、パーカッションによる繋ぎが決まると、トランペットの技巧的なソロが始まり、続いてその旋律を受けバンド全体が響かせる。その後、フーガ形式による金管の響きが綴られ、それは神の祝福を浴びるようである。曲は終盤に差し掛かり、これまでの変奏とメロディが入り混じり曲は最高潮を迎える。熱の冷めないまま、冒頭のファンファーレの再来、壮大なコラールを迎え、勇敢なホルンの叫びとともに曲は終焉を迎える。 バンドのすべての楽器、特にホルンやトランペットにかなり高度な技術が要求されるこの曲は、難曲としても有名な吹奏楽曲である。しかし、同時に各々の楽器の持ち味が存分に発揮され、吹奏楽ならではの豪華絢爛な響きや、パイプオルガンや聖歌隊の歌い声のような教会音楽をも感じることができる。パワフルかつ荘厳なサウンドをお楽しみいただきたい。 (第45回定期演奏会) |