David R. Holsinger – デヴィッド・ホルジンガー
神聖なるバレエ(バレエ・サクラ) |
●原題:Ballet Sacra
●グレード: 5
●演奏時間:約15分 ●第21回サマーコンサート
ディヴィッド・R・ホルジンガーは1945年12厚26日アメリカ・ミズーリ州のハーディンに生まれました。幼少のころから音楽に関心をもち、ピアノ、トランペットを学び、小学校では吹奏楽の授業を受けていました。作曲家としては出世作となった「春になって王たちが戦いに出るにおよんで」(ABAオストワルド作曲賞受賞)「ヘイヴン・ダンス」といった吹奏楽編成のための作品から、それに合唱を加えた「シンフォニア・ヴォーチ」「モーゼの歌」そして50分にも及ぶ大作「復活祭交響曲」など数多くの作品を書いています。 彼の持ち味は、攻撃的とまで言える荒れ狂うアレグロと情熱的で高揚しきりのアダージョにありオルガンを思わせる厚く輝かしいサウンドに吹奏楽ならではの拡大された打楽器群を加えた独自の語法を持っています。本日お送りする作品でもそのような彼の語法は十分楽しんでいただけると思います。
この作品には男声、女声による詠唱が入っています。「Gloria in Excelsis Deo(いと高き神に栄光あれ)」「”Quoniam tu solus sanctus”(聖なるかな、唯一の神)」「Dona nobis pacem(主の安さをえさせたまえ)」というそれぞれキリスト教のミサから採られた聖句で、このように宗教的性格をもたせたかったことはタイトルの「神聖なる」からも十分想像できます。したがってこの作品は想像上の1幕のバレエということができます。想像上といっても作曲者がなにかしら情景を伝えないとバレエとは言いがたいので、曲中にいくつもの情景をあらわすことばが記されています。
”ファンファーレと典礼の音楽” 金管楽器のアクロバティックなファンファーレ始まる。 ”バレエ団の入場” 高速の5拍子。高音の喧騒とホルンの咆哮、そして低音の打撃音。 ”変奏曲” 木管楽器を中心に変則的な動きが展開され、金管楽器はゆったりとやはり変則的に酔ったかのように歌う。 ”パ・ドゥ・トロワ” テンポが一変してゆっくりになり、木管高音のコラールにのせて男性、女性による詠唱が始まる。トランペットの立奏によるソロがフィーチャーされる。 ”パ・ドゥ・ドゥ” 打楽器の一撃で前半の勢いを取り戻そうとするが、もう一度詠唱に戻る。 ”バレエ団全員によるフィナーレ” 前半の勢いを取り戻し、ファンファーレの拡大再現などをしながら着実に終結に向かう。 ”ベネディクション” エピローグ。たった一度だけDona nobis pacemと唱えて曲が終わる。
ホルジンガーにしては珍しくアンチ・クライマックスの曲です。しかしまだ多作家ではなかったころの十分練られた作品です。 (第21回サマーコンサート) |