Alfred Reed – アルフレッド・リード
吹奏楽のための第2組曲「ラテン・メキシコ風」 |
●原題:Second Suite for Band (Latino Mexicana)
●グレード: 3-5 ●演奏時間:約14分30秒 ●第2回サマーコンサート、第11回サマーコンサート
この曲は、吹奏楽の第一人者アルフレッド・リードが、イリノイ州スターリング高校のジャック・ミュラーの委嘱によって作曲し、1979年3月29日に初演されました。堅苦しい題名ですが、内容は全体を通してラテンアメリカ諸国の音楽を題材にした、明るく楽しい曲です。
第一楽章:「カリプソ」というキューバの賑やかな音楽 第二楽章:夏の夜の静かなカリブ海の様子 第三楽章:アルゼンチンの酒盛りの歌 第四楽章:群衆渦巻く闘牛場の興奮と熱狂
皆様それぞれのイメージで、自由にこの曲をとらえてお楽しみください。 (第2回サマーコンサート)
この曲は、日本でも人気のあるアルフレッド・リードの代表作品の1つです。曲は4つの楽章から構成されており、いずれもラテンアメリカ(中南米)の音楽の様式を用いているのが大きな特徴となっています。 第1楽章 ソン・モンテューノ この楽章はキューバやカリブ海の島々の音楽であるカリプソに似た2拍子の軽快なリズムを基本にした楽章です。 第2楽章 タンゴ “サルガッソーセレナーデ”というサブタイトルが示すように、よく知られているアルゼンチン風なタンゴではなく、むしろもの憂い感じのする曲となっています。 第3楽章 グワラチャ “グワラチャ”はアルゼンチンの酒盛りの歌で2拍子のいきいきとしたにぎやかな曲です。 第4楽章 パソ・ドブレ パソ・ドブレとは、スペインからメキシコに伝わった闘牛場のマーチのことですが、ここではマーチではなく3拍子+2拍子、あるいは3拍子を用いた舞曲風の曲になっています。
(第11回サマーコンサート) |
ミュージック・メイカーズ |
●原題:Music Makers
●グレード: 3 ●演奏時間:約3分50秒 ●第13回サマーコンサート
アメリカのスペンサーポートハイスクール・ウインドアンサンブルとその指揮者H.スタンレー・ロバーツの委嘱により作曲され、1967年5月16日に作曲者自身の指揮で初演された。19世紀アイルランドの詩人アーサー・オショーネシーの叙情詩からインスピレーションを得ており、「帝国を倒すことだってできる」音楽の偉大な力を讃えている。 (第13回サマーコンサート) |
エルサレム賛歌 |
●原題:Praise Jerusalem!
●グレード: 5 ●演奏時間:17分55秒 ●第18回サマーコンサート
この『エルサレム賛歌』はサブタイトルに「アルメニアのイースター(復活祭)賛歌による変奏曲」とあるように、アルメニアの古い賛歌を基に作曲した変奏曲である。
この変奏曲では、7世紀頃の『アルメニア正教典礼聖歌集』のなかの賛歌が用いられている。その歌詞は次のようなものである。
この賛歌のメロディは、曲の序奏がはじまってまもなく、ホルンとコルネットにより奏せられる。 また、この曲は序奏、主題呈示、それに5つの変奏曲とフィナーレから構成され、力強く華やかに曲がとじられる。 (第18回サマーコンサート) |
オセロ |
●原題:Music from Othello
●グレード: 5 ●演奏時間:約17分 ●第19回サマーコンサート
英国を代表する劇作家ウィリアム・シェイクスピア(1564~1616)の戯曲『オセロ』(1604)は、彼の4大悲劇の一つに数えられています。
曲は5つの楽章からなり、リードは次のように書いています。
第一楽章 “前奏曲(ヴェニス)”は緊張、軍隊的な雰囲気を直接作っていて、それは劇そのものであり、オセロ自身が第一幕第三場でヴェニスの公爵に対する返事“戦いの習慣は石を枕に鋼の床となり、戦場こそは私にとってこよなき寝床です”という言葉を示しています。 第二楽章 “朝の音楽(キプロス)”は第三幕第一場でオセロとデスデモナの窓の下で町の音楽家達が奏でる朝の歌又はセレナーデ、“お早う将軍”というタイトルです。 第三楽章 “オセロとデスデモナ”は情熱的だが優しい彼らの間の深い感情を表し、第一幕でオセロがヴェニス元老院で行った有名なスピーチ“彼女は私が経験した危険の故に私を愛し、私は彼女の憐みの心を愛した”に基づいています。 第四楽章 “廷臣たちの入場”はオセロが激情と嫉妬で半狂乱となり、はじめに叱り、次に彼を英雄と讃えて庭に入ってきた人々の見ている前でデスデモナをなぐり、イヤーゴが“ヴェニスのライオンを見よ!”と嘲る場面です。 第五楽章 “デスデモナの死、終曲”は音楽の総決算であり、これまでに高まった緊張の解決です。第五幕第二場のように劇が終わり、すべての誤解が人々の本性を引きはなしてしまうその結末を示しています。ここで引用されているのはデスデモナの死体に話しかけるオセロの有名な最後のセリフ“わしはそなたを殺す前にキスした。今はもうこの他に道はない……”です。 シェイクスピアの原作そのものがムーア人が白人の貴族の娘を妻にする当時としてはセンセーショナルな筋書きで、それが悲劇につながってゆきます。そうした背景のこのドラマを見事に音楽で描き上げた作品で、リードの作品の中でも重要な曲の一つです。 (第19回サマーコンサート) |
エル・カミーノ・レアル |
●原題:El Camino Real ―A Latin Fantasy―
●グレード: 5 ●演奏時間:約8分30秒 ●第25回サマーコンサート
エル・カミーノ・レアルは、1985年アメリカ空軍軍楽隊に委嘱され、アルフレッド・リードにより作曲されました。
ラテン・ファンタジーのサブタイトル通り、典型的な急―緩―急の3部形式からなるこの曲は、木管の嵐のような激しさ、金管の華やかさが特徴です。金管のファンファーレから一転、木管の嵐のようなパッセージ、ホルンのスペインを思わせる第一テーマを経て、次第に盛り上がり、最高潮に達した後、終息に向かい、中間部へ続きます。木管楽器は美しくもどこか物悲しい旋律を歌いあげ、それは次第に明るく、そして優しいメロディーに姿を変えていきます。そして金管が、華やかさの裏にあるものを見つめているかのように、語り掛けます。スネアの16分音符から刻まれるリズムにクラリネット、ホルンと次々と楽器が加わっていき、最後の全員による華々しいクライマックスへと向かっていきます。 タイトルは「皇道」と訳されますが、その名の通り、勢いのある華々しさがこの演奏会の幕開けに相応しいと思います。 (第25回サマーコンサート) |