Sakai Itaru – 酒井格
森の贈り物 |
●英題:Legacy of the Woods
●グレード: 5 ●演奏時間:約7分10秒 ●第27回サマーコンサート
この曲は2003年に龍谷大学吹奏楽部の委嘱で作曲され。同部はその年、この曲を自由曲として全国大会金賞を受賞しました。作曲者の酒井格氏は「たなばた」「大仏と鹿」などで有名ですが、この曲もまた、彼らしい自由な曲想と豊かな旋律にあふれた、代表作の1つと言えるでしょう。
樹齢7000年以上とも言われる縄文杉を擁する、鹿児島県屋久島の美しく、神秘性さえ感じさせる森。作品はそんな広大な自然にインスピレーションを受けて書かれ、その旋律からは、深い緑の森林が目に浮かぶようです。しかし屋久島は、一時期、伐採によってその自然を失うような危機に立ったこともあり、失われる自然への悲しみや、それを乗り越えようと尽力した人々の思いも曲中に含まれているように思われます。 コルネットによる森の精の優しい歌、老木の昔語り、美しく主題が描く深緑の森……そんな情景が次々に歌われます。スネアドラムに導かれ始まる動物たちの楽しい行進、ふいに森をおそう嵐、そして再び青空を取り戻した美しい森。時折、美しさの中に垣間見える悲しみは、心なく傷つけられる自然からの叫び声かもしれません。 美しい森をいつまでも。自然への感謝と願いと共に曲はフィナーレを迎えます。 (第27回サマーコンサート) |
行進曲「山辺の道」 |
●英題:The Ancient Road / Yamanobe no Michi
●グレード: 5 ●演奏時間:約6分 ●第28回サマーコンサート
今回オープナーとして演奏します本作は、「たなばた」でお馴染み、酒井格氏の作品です。奈良ウィンドコンサートファミリーの創立20周年を記念したコンサートのために書かれた作品で、2002年4月13日に奈良文化会館国際ホールで大阪市音楽団のコンサートマスターでもある長瀬敏和の指揮により初演されました。
山辺の道は万葉集にも歌われている奈良盆地の東側を南北に走る日本最古の道です。飛鳥地方と平城京を結ぶ古代の幹線道路で、南端には邪馬台国の最有力候補地である櫻井氏の纒向(まきむく)地区があります。 曲は酒井氏としては珍しく、教会旋法であるEドリア旋法(D調の調号でEから始めた音階を主音としている)で書かれ、複雑なリズム、ソロ・ソリがちりばめられグランドマーチとなっています。 (第28回サマーコンサート) |