Stephen Melillo – スティーヴン・メリロ
ゴッドスピード! |
●原題:Godspeed!
●グレード: 5-6 ●演奏時間:約6分 ●第30回サマーコンサート
日本では「アメリカの騎士」や「ストームワークス」で有名な、1957年アメリカニューヨーク州出身のスティーヴン・メリロにより、1998年に『組曲「名誉・勇気・誓約」(”Honor, Courage…Commitment”)』の第三楽章として本作「GODSPEED!」は作曲されました。国内では、2000年の全日本吹奏楽コンクール一般の部で、本作を演奏した土気シビックウインドオーケストラが金賞を受賞したことをきっかけに人気に火が付きました。組曲全体を通して聴くと、第1楽章(Without Warning!)、第2楽章(Without Hesitation)のテーマが第3楽章に引き継がれていることに気付くなど、一曲ごとに聴くのとはまた違った面白さがあります。
題名の「GODSPEED!」とは、”To wish someone a prosperous journey” 日本語にすれば「良い旅を!」でしょう。音楽から離れますが、2006年7月4日に行われた、スペースシャトルディスカバリー号が地球と国際宇宙ステーションを往復するミッションSTA-121で、ディスカバリー号がまさに地球から飛び立とうとしている際に、管制官が”So good luck and godspeed, Discovery.”とクルーらへコメントしています。これは2003年にコロンビア号が空中分解した事故によってアメリカが有人宇宙飛行から2年ほど退いたため、今回のディスカバリー号がその再開の旗手だ、ということを踏まえた発言です。”godspeed”には強い祈りの力が籠められています。
本作はスティーヴン曰く「STORM MUSIC」というジャンルです。曲は三部構成で、急緩急の古典的な仕様となっています。乗り物での旅を連想させる疾走感溢れる第一部と、ゆったりとしつつどこか懐かしげな第二部とは対照的に、第一部と第二部の主題が入り混じりつつ終焉へ向かう第三部には、全てを巻き込み猛々しく突き進んでいく力強さを強く感じます。まさに「嵐のような」頻繁に揺れ動く強弱が音楽に躍動と緊張と快活さをもたらし、高音楽器は稲妻のごとく瞬き、低音楽器は吹き荒ぶ風のごとく唸り、時にはトゥッティで、時には旋律が入り乱れ、それでもなお透明度の高い和音によって純粋なダイナミクス―力強さを失わない。「STORM MUSIC」の名にふさわしい曲です。 それでは、本作が生み出す嵐荒れ狂う旅をご堪能ください。シートベルトはよろしいですか?危険ですからくれぐれも演奏中に席をお立ちにならないように。 では、Good luck and godspeed!! (第30回サマーコンサート) |