Nigel Hess – ナイジェル・ヘス

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グローバル・ヴァリエーション

  • ●原題:Global Variations
  • ●編曲:Clare Grundman
  • ●グレード: 4
  • ●演奏時間:9分
  • ●第32回サマーコンサート

イギリスのビッグ・ベンの鐘が、あなたを最高の世界旅行に連れて行ってくれます。フランスやインドに行った後、シルクロードを通って中国へ、そしてアメリカ大陸に渡り、再びビッグ・ベンの鐘が鳴り響く、壮大な曲となっています。

(第32回サマーコンサート)

シェイクスピアピクチャーズ

  • ●原題:シェイクスピアピクチャーズ
  • ●グレード: 4
  • ●演奏時間:約13分
  • ●第46回定期演奏会

NigelHess(1953-)は、イギリスの作曲家である。主にテレビや演劇、映画のための音楽を作り、英国王立シェイクスピア劇団(RSC)の座付き作曲家であった。シンフォニックバンドのための音楽も多く発表しており、日本でも彼の作品は人気で、『イーストコーストの風景』は、しばしばコンクールでも演奏される。この曲はRSCのために作曲されたものを、バーミンガム交響吹奏楽団の委嘱により、Hess自身が2008年に組曲形式に再構成した。急-緩-急の3楽章構成で各楽章は独立した作品を題材としている。

I. Much Ado about Nothing (空騒ぎ)

疾走感溢れる冒頭からホルンの雄叫び、木管群のさえずりへと移り、聴衆は息つく間もなく、ヘスの世界観、シェイクスピアの作品舞台へと引き込まれる。

II. The Winter’s Tale – The Statue (冬物語‐彫像)

木管群を中心とする序奏部に続き、ハープの調べに乗せたオーボエのソロが優雅に奏でられてtuttiへと向かう。王妃ハーマイオニを模した彫像の美しさと王レオンティーズの哀しみが表現されている。

III. Julius Caesar – The Entry to the Senate (ジュリアス・シーザー‐元老院への入場)

ソロフルートによる語りから始まり、スネアドラムと木管群の先導に続いて、金管群のファンファーレによってジュリアス・シーザーの入場が示される。オルガンが主題を再提示すると曲は最高潮に達し、荘厳なフィナーレを迎える。

作品紹介

William Shakespeare(1564-1616)はイングランドの劇作家、詩人であり、イギリスにおけるルネサンス演劇を代表する人物である。卓越した人間観察眼と、その表現技法によって、最も優れた英文学作家と言われる。2016年は没後400年を記念して世界各地で様々な関連行事、公演が行われた。

・空騒ぎ

1598年頃成立。喜劇。知事の娘ヒアローに恋するクローディオと、知事の姪ビアトリスと舌戦を繰り広げるベネディック、彼ら2組の恋物語。ドン・ペドロはクローディオの愛を成就させようと、クローディオのふりをしてヒアローに求愛。知事はクローディオに娘との結婚を許す。一方、ベネディックとビアトリスは、互いに親しい者に相手への愛を打ち明け、周囲もこの2人の縁結びを画策する。恨みを持つ者によって、ヒアローが逢い引きしていると勘違いしたクローディオはヒアローを非難して破談を宣告。失神したヒアローを周囲の者が死んだように見せかけ、クローディオに反省を促す。ヒアローの逢い引きが嘘だと知ったクローディオは深く後悔し哀しみに暮れる。償いとして、知事は、弟の娘と結婚を提案し、クローディオはそれを受け入れる。婚礼当日、仮面をつけた花嫁が実はヒアローだったことが発覚する。ヒアローとクローディオ、ビアトリスとベネディックの結婚式が執り行われ、舞台は幕を閉じる。

・冬物語 1611年成立。喜劇、ロマンス劇。

シチリア王レオンティーズは、妃ハーマイオニと訪問中のボヘミア王との不貞を疑って、妊娠中のハーマイオニを投獄する。シチリア王は彼女が獄中出産した女児を遠い荒野に捨てるよう命じる。王が神託さえも無視すると、その直後、王子とハーマイオニは死亡し、ようやく自らの誤解に気付く。一方、獄中で生まれた女児はパーティと名付けられ、出生の詳細を記した手紙と共にボヘミアの海岸で羊飼いに拾われる。コーラス役の「時」が、16年の歳月の経過を告げる。パーティは美しく成長し、ボヘミアの王子に見染められ愛し合う。ボヘミア王が2人の結婚を許さなかったため、彼らはシチリアに逃れる。懺悔の日々を送るレオンティーズのもとに、2人が到着。続いて後を追ってきたボヘミア王と羊飼いも到着。羊飼いが見せた手紙によって、パーティはハーマイオニが産んだ子であることが発覚する。皆が再会と和解を喜び合う中、ハーマイオニの彫像が公開される。その彫像に胸を打たれたレオンティーズは真の愛を示す。「自然の魔術」により彫像は本物のハーマイオニとなり、2人は奇跡の再会を果たす。

・ジュリアス・シーザー

1599年頃成立。歴史劇。群衆の歓呼のなか凱旋するシーザー。占い師がシーザーに向かって「3月15日に気をつけろ」と叫ぶが、相手にされない。ローマ共和制保持の下、将軍は人格高潔な義兄ブルータスを、シーザー暗殺に誘う。運命の3月15日。陰謀によって元老院へと連れ出されたシーザーは刺殺される。混乱する群衆に対しブルータスは、今回の決起の真意を理路整然と説明し、その場を去る。アントニーは、ブルータスを讃えるふりをして、言葉たくみに群衆を誘導し、反乱を起こさせる。ブルータス一味はローマから逃亡する。ブルータスと将軍はフィリッパイで敵と対戦することを誓い、今生の別れをする。将軍の軍隊は優勢に戦いを進めたが、自軍の敗北という誤報に絶望して自害する。そして、ブルータスも敗色濃くなることを見て取ると自害する。その亡骸を前に、ブルータスの高潔さを称えるアントニーの言葉で劇は終わる。

(第46回定期演奏会)

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