Amano Masamicz – 天野正道
鼓響・・・故郷(原典版) |
●英題:Kokyou
●グレード: 4+ ●演奏時間:約12分40秒 ●第36回サマーコンサート 「鼓響・・・故郷」は、秋田吹奏楽団が設立30周年を記念して天野氏に作曲委嘱をした作品です。
この曲は1楽章「童歌」2楽章「奏春」3楽章「鼓響」の3つの楽章で構成され、秋田の冬から夏にかけての情景と、そこに住む人々の動きが描かれています。 1楽章「童歌」では『上を見れば虫コ 中を見れば綿コ 下を見れば雪コ』という雪がしんしんと降る冬の情景を表した秋田の童歌をベースとして進行。道中、金管木管の高音群や鍵盤打楽器の鋭い合いの手や怒涛のトゥッティを経て、静かに幕を閉じます。 2楽章「奏春」はフルート・クラリネット・マリンバによる暖かな変ホ長調の和音で始まります。秋田にやってきた遅い春への喜びを切々と歌い上げるテューバソロ、ソプラノサックスを筆頭とした起伏の強い耽美のアンサンブルが演奏されると、日の出のようにバンドは徐々に熱を帯びて最高潮を迎え、落ち着きを取り戻して再び恍惚と「春を奏でて」いきます。 何かを予感させるようなピッコロの独奏を終えると、突然の篠笛・和太鼓・チャンチキによる祭囃子を皮切りとして、曲は間を入れずに夏を描く3楽章「鼓響」を迎えます。このお囃子は、日本の三大祭りの一つである「秋田竿燈祭り」をもとに楽章を通して演奏され、バンドと交互に浮き沈みをしたり、絡み合ったりを繰り返します。どこかで聴いたことがあるような踊りのモティーフを挟み、1楽章の激しい場面が再現されると、祭囃子はフェードアウト。ゆっくりとした5拍子のテンポがオーバーラップし、沸々と湧き上がるかのようにバンドが力を増してクライマックスを迎えます。ここで、1楽章の童歌が形を変えて登場。全体合奏によって壮大に歌われると、再び速いテンポで祭囃子とバンドが絡み合い、さらに速さを増していき熱狂的に終幕を迎えます。
冬から夏までが描かれた「秋のない(飽きのない)」この作品の、情熱的で甘美で、どこかノスタルジックな雰囲気をお楽しみいただければ幸いです。 (第36回サマーコンサート) |