客演指揮の久保田善則先生にインタビューしました。【阪吹ブログ ― 特集5】

サマーコンサートまで、残すところあと2週間です。

さてなんと今回の阪吹ブログは、当楽団客演指揮である久保田善則先生のインタビュー記事になります。

久保田先生には、今回のサマーコンサートで『宇宙の音楽』と『ドラゴンの年』の2曲を指揮していただきます。

また、定期的に当団の合奏練習にお越しいただいており、いつも大変お世話になっています。

今回はそんな久保田先生ご自身のこと阪吹との関わりについてサマーコンサートについて、インタビューさせていただきました。

久保田先生ご自身のこと

―― 先生のご出身はどちらですか。

長崎市生まれで東京育ちです。10歳から関西に在住しています。

―― まず、先生と音楽の出会いはどのようなものだったのかお聞きしたいです。

中学校のクラブ活動が打楽器を始めるきっかけになりました。小太鼓が好きでした。

―― 多くの団員と同じように、クラブ活動で楽器を始められたのですね。久保田先生は京都市立芸術大学音楽科を卒業なさっています。どんな学生時代を過ごされたのでしょうか。

どのような方向に進むにしても、実力をつけねばならないという思いで、基礎練習を中心に練習漬けの毎日を送っていました。同時に打楽器の音楽の可能性も追及したく、現代音楽に注目していました。

―― 久保田先生が音楽を生業にしようと思ったきっかけや、影響を与えたできごとは何だったのでしょうか。

当時は、プロのオーケストラが音楽学生をエキストラとして使ってくれたので、そうした団体で演奏するのは自然なことでした。席次に空きができたのでオーディションを受けたら合格したので入団しました。

―― 先生はその後、大阪フィルハーモニー交響楽団でプロの打楽器奏者として活躍なさっていました。その中で印象的なご経験はなんですか?

ラベルのボレロ、ショスタコーヴィッチの交響曲第七番のスネアドラム等は緊張しましたが、良い経験になりました。

―― 大阪フィルハーモニー交響楽団を勇退なさった後も、様々なアマチュアの吹奏楽団で指揮や指導の活動をなさっています。どのような想いで続けられているのでしょうか。

個々のメンバーが、いかに楽しく充実感を感じて演奏してくれるかを願っています。

―― 先生の音楽家としての今後の目標はなんですか。

できる限り新しい事や、やりがいのあることを見つけていきたいです。

大阪大学吹奏楽団との関わりについて

―― 久保田先生は、大阪大学吹奏楽団ではいつから指導をなさっているのでしょうか。

大阪大学に来始めた頃、ウェストサイドストーリーのシンフォニックダンスを聞いた覚えがあるので、1986年前後にパーカッションの指導で縁ができたと思います。バンドの指揮者を依頼されたのは1996年以降です。

―― そんなに前からお世話になっていたとは知りませんでした。当初、阪吹にどのような印象を持ちましたか?

今より一回り小さな編成でしたが、真面目に取り組む良いバンドだと思いました。

―― これまでに先生が感じた阪吹の音楽的な変化がありましたら、お話していただきたいです。

練習等に取り組む姿勢は変わりませんが、選曲の幅が拡がり、演奏に自信を感じます。

―― 久保田先生には、当日の指揮だけでなく普段の合奏練習のご指導も行って頂いています。合奏に臨む前にどのような準備をなさるのですか。

曲全体の構造を理解し、問題点を把握しておきます。

―― 曲の後半の方から合奏を進められることもあったと記憶していますが、合奏で取り組む部分の優先順位も予め決めているのでしょうか?

それは、大体練習の密度が前半に片寄りがちになるからです。また、ヨーロッパの音楽は「終えるために始める」という考え方があるからです。朝比奈隆という先生の練習方法を参考にしています。

―― 久保田先生は打楽器が専門ですが、指揮ついては、いつどのように学ばれたのでしょうか。

指揮法の授業が大学でありました。基本的には指揮の仕方は教え難いと言われます。多くの指揮者の元で演奏することで学んだ部分が多いです。

―― 演奏家としてのご経験が生きているのですね。次に、先生が合奏を進める上で工夫していることを教えていただけますか。

指揮者の責任でできることはしっかりやることです。

―― 是非お聞きしたいのですが、「指揮者の責任でできること」とは、具体的にどのようなことだとお考えですか。

スコア全体の視点を持ち創造的に音にすること、演奏者をサポートすることです。

―― 阪吹を指導する中で苦労する点はなんでしょうか。また、やりがいを感じられるときはどのようなときかお伺いしたいです。

消極的だったり、曲への共感が得られない時は少し不安になります。全体として音楽に勢いがあり一体感を感じられる時が好きです。

―― 阪吹の好ましい点があればお聞きしたいです。

様々な部署や局面で努力し、素晴らしい演奏会にしようとする所です。

―― これからの阪吹の活動に期待することはなんですか。

音楽する喜びを感じ、多様な体験を楽しんで欲しいと思います。

サマーコンサートについて

―― 今回のサマーコンサートで先生が客演指揮をしてくださる『宇宙の音楽』と『ドラゴンの年』ですが、数ある候補曲の中からをこの2つを選んだ理由をお聞きしたいです。

今の状況を考えると、演奏会を開催すること自体が大変なので、何よりも演奏する喜びを味わえる曲、合奏の楽しさ、深く歌い上げ、又元気を感じられる曲が、演奏者にも聴いて頂く人にも良いのではないかと思って選びました。

―― 先生がどの曲を演奏するか決める際にはどのような基準で行っているのでしょうか。

曲選びの基準は、所謂吹奏楽のスタンダードというよりは、音楽としての力を重視しています。演奏することで喜びを実感できることを大切にしています。同時に、曲の題材や作曲の背景も大事です。

―― 久保田先生が思われる「音楽としての力」とは、どんなことを可能にするパワーなんでしょうか。また、それは曲のどのような部分に現れてくるのですか?

自分なりの感覚ですが、作曲家の意欲が真摯であり、音楽の印象が長く心に残ることです。

―― あえて「この曲はぜひここを聞きなさい」というアドバイスを伺いたいです。まず『宇宙の音楽』についてお願いいたします。

組み上げられた細部のアンサンブル、スリリングな展開、叙情的な旋律の豊かさ。

―― 『ドラゴンの年』についてはいかがでしょうか。

スピード感、万華鏡のような変化、全員で創る歌と力のこもったクライマックス。両方の曲とも、スパークの作品の中でも、アイデアとインスピレーションが卓越していると思います。演奏の喜びを感じて貰えると嬉しいです。

―― 話は変わりますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、阪吹も活動が制限されました。この厳しい状況の中、演奏会を開催する上でどのような心持ちで過ごせばよいでしょうか。

現状は思うように準備、練習、本番も出来ません。逆に言うと、それができるということは本当に有難い事です。ハンディキャップがあることは仕方ありませんが、それでも各自が出来ることを精一杯やって、何よりも明るい気持ちで楽しむ事が大事です。

―― 団員へのメッセージをお願いします。

肯定的になることです。限られた条件でもベストを尽くしましょう。総てを楽しもう。

―― サマーコンサートへ足を運んで下さるお客様へ、メッセージをお願いします。

音楽を通じて 心の通い会う時間を過ごすことを期待しています。

―― 久保田先生、このたびは貴重なお話をありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

編集後記

阪吹ブログは、毎週日曜日と木曜日に更新中です。「サマーコンサートに向けて頑張る団員の思い」や「サマーコンサートの魅力」をお伝えしています。

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